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2.だってもう 速く走れない

修也がサッカーを止めて、もうすぐ1年経つ。
フットボールフロンティアは今年もやってきた。
木戸川のサッカー部は修也がいなくなってから、3つ子のFWが頑張ってる。
俺はMFを少し前まで頑張ってた。

修也がサッカー部に顔を出さなくなったとき、あいつらはみんな怒った。
最初こそみんなどうしたんだと心配顔だったけれど、修也は言い訳も何も言わないから、みんな次第に苛立って、修也を罵倒してた。
そして俺が止めるときも、みんな怒った。
俺が理由を話さなかったから。

だけどもう駄目だと感じたんだ。
俺は今まで修也とやっていたサッカーが好きだった。
修也の隣に立つためならどれだけでも頑張れた。

・・・だけど、修也がいない今、俺には目標も目的も理由もなかった。
サッカーができなくなっていた。
正しく、俺にとって修也は一番だった、全てだったんだ。
俺は、サッカーが好きだという以前に、きっと修也が大好きだった。

それだけだ。

修也がどこに引っ越したのかなんて知らない。
あれから夕香ちゃんにもあってないし、修也のお父さんが勤めてる病院は知ってるけど、会いに行ったからと言って何にもならないから、行かない。
修也は、何してるんだろ。
・・・サッカーやってるかな。

修也がサッカー止めてたとき、こんなに日々が暇で詰まらないものだったのかなんて、俺には分からないけれど、きっとこんな感じだったんだろうな。
気付いてやれなかったな。
もっと一緒にいればよかったな。
・・・・・・ずっと一緒にいられると思っていたのにな。


瞼を閉じれば浮かぶ顔は、大好きな人のつらそうな表情だけだった。
笑った顔が、見たかった。






 

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