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3.私が居なくても 貴方は生きていけるから

テレビで久しぶりにフットボールフロンティアの試合を見た。
準決勝で、俺の通う木戸川と今年のダークホースの雷門だった。
サッカーを止めた俺はスタジアムへは行く気になれなくて、だけどこの試合だけは見届けようって思ってたから。
木戸川のみんながテレビに映って、雷門のサッカー部が映って。


雷門のサッカー部の中に、修也がいた。


雷門のGKでキャプテンの子と何か話してるみたいだった。
その隣にはゴーグルをつけた帝国学園のキャプテンもいて、あれ?って思ったけど、それよりも修也に目が行って。
・・・サッカーまた始めたんだな。
木戸川との試合だからか、眉間に皺寄せてて、お世辞にも楽しそうとは言えないけれど。
でもあの頃よりずっといい顔してた。
サッカーに真剣で、サッカーが大好きで、サッカーへの気持ちは人一倍で、頑固者な修也。
試合は修也たちの勝ちだった。

「・・・次は決勝、だな。修也」

俺はテレビに映った修也にぽそりと呟いて、目元を少し緩めた。
吹っ切れたんだな、修也も、木戸川のみんなも。
修也と話してる3つ子が映って、穏やかな顔してる監督が映って、目元を緩めていて嬉しそうに笑う修也が映った。

修也、修也、修也。
お前は俺がいなくても、サッカー続けられたんだな。
そうだよな、お前は強いもんな。

俺は弱かったよ、修也。
お前がいなきゃ何もできない弱者だった。



サッカーを続けている修也をこれ以上見られなくて、俺はテレビの電源を落とした。






 

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