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今日も日課をこなし、悠々自適な船の上の生活を楽しんでいたイオリのもとへ、クマのぬいぐるみのスズキ君はとっててとってて走り寄ってきた。
「船ー長!島が見えまーす!」
「お、春島だね」
「はいー!」
「じゃあみんなを部屋に集めてくれる?」
「わかりましーた!」
そう言ってすぐさま走り去ったスズキ君を見送って、イオリも動き出す。
食料はあとどれくらいあっただろうか、何か足りなくなっているものはないだろうか。
そんなことを思いながら、なんとも平和なものである。
ネジ巻き海賊団は船長のイオリしか人間はいない。
他のクルーはみんなイオリが命を吹き込んだ、もともとは生きていないものたちばかりだ。
ネジを巻いて命を吹き込む、イオリはネジネジの実の能力者。
つまりは悪魔の実を食べた人間であった。
ネジ巻き海賊団のクルーたちはネジが止まれば元の人形に戻ってしまう。
ネジが動いている間だけ、彼らは命が吹き込まれるのだ。
だから動くこともできるし話もできる。
自我を保つことすらできるのだ。
そんなネジ巻き海賊団にはある掟が存在する。
船長、イオリのいないところでは、常に二人以上で行動すること。
たったこれだけの掟であったが、彼らにとってこれは死活問題であるのだ。
ネジが止まった時にネジを巻いてくれるものが傍にいなければ、彼らは再び命を宿すことができない。
イオリは口を酸っぱくして、クルーたちに覚えこませるのだ。
私のいない場所では無理をしないこと。
私が傍にいないときはできるだけ目立った行動はしないこと。
私の目の届かない場所へ行くときは常に二人以上で行動すること。
何が起きるかわからないこの世界で、たとえ人形であっても彼らはイオリのクルーなのだ、仲間なのだ。
つまりはイオリは彼らをとても愛しているのだった。
「じゃあ、今日はスズキ君とサトウ君が食料調達でよろしく。後のみんなは船で待機!私はちょっと街に出てくるね」
「はいー!わかりましーた!」
「船長、お気をつけてくださいね」
「大丈夫だよ。いざとなったらネジぶっ刺してやるし」
今日着いた春島で街に出るのはクマのぬいぐるみのスズキ君と、マネキン男のサトウ君。
そして船長のイオリだけであった。
サトウ君がいるため多少目立たないが、ぬいぐるみのスズキ君が動くというのはそれだけでとても目立つ。
イオリは彼らを見送って、自分も街へと繰り出したのだった。
新たな仲間を探して。
気に入った人形を探して。
続
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